2016 / 04 / 16

HOTEL SHE, KYOTOにて、空間演出プロジェクションマッピングの映像制作を担当しました。

こんにちは。映像ディレクターの高野です。 今回は、我々designing plus nineが制作に携わった仕事に関する告知をさせて頂きます。

概要

HOTEL SHE, KYOTO は、2016年3月末に新しくオープンしたホテルです。 そこは、「現在の一般的なホテルは、どこでも似たような作りになっている。京都を旅する非日常感も、ホテルに戻れば薄れてしまう」という問題意識から、 「ホテルに戻っても絶えることなく続く、旅の非日常」というコンセプトのもとに作られています。

そうしたコンセプトの一環として、「禅×テクノロジー」をテーマとし、ホテルのラウンジの壁面や廊下の突き当りに、 空間演出として、京都を演出するプロジェクションマッピングを行おうという企画が立ち上がりました。

そして、そのプロジェクションマッピングの映像を、高野・酒井・石橋・日比谷の4名のチームで制作しました。 4/10(日)TBSテレビ「直撃!コロシアム!!ズバッと!TV」にて、プロジェクションマッピングが紹介されました!

制作に関して

プロジェクションマッピングといえば、東京駅などの例を思い浮かべる方も多いと思います。 プロジェクションマッピングは派手で目立つものですし、一般に、それ自体がメインコンテンツであることが多いです。

しかし、今回はあくまで空間演出として、ホテルのコンセプトを実現するための重要な一要素であるという点に気を付けて制作しました。 今回の映像は作ったものを一通り放映して終わり、というものではありません。常にそこにあるものでなければならないのです。 実際のところ、ラウンジでは3時間、廊下では9時間ほど投影され続けることになっています。 そうした要件を実現するために、1分尺のムービーを複数本制作し、ループしたり交互に流したりするという方針を採りました。

HOTEL SHE, KYOTOのラウンジは、夜になるとバーとなり、照明が落とされます。 その中で投影されるものなので、ある程度の見世物性を持った、モーショングラフィック的な映像になりました。 厳密には、単に平面の壁に投影するものはプロジェクションマッピングとは言いませんが、 それでも空間演出として、プロジェクションマッピングとしての意味を持たせるということを考え、 障子の奥で景色などがグラフィカルに展開していくような映像を制作しました。

ラウンジ_1 ラウンジ_2

また、ホテルの入り口からすぐ見える位置に、一階の廊下の突き当たりの壁面があります。 こちらに投影する映像は、ホテルのアイキャッチとしての役割をも果たす、「日本庭園を望む窓」ということでした。 外の時間経過に合わせて、昼→夕→夜→深夜……と変化します。

夜_1 夜_2 制作の流れとして、酒井がラウンジの映像を、石橋・日比谷が廊下の映像を制作し、 高野が制作進行や各種連絡・交渉、クオリティコントロールなどのディレクション業務を担いました。 制作に使用したツールはAfterEffectsです。

設営作業

高野・酒井は、実際に現地の京都のホテルに向かい、プロジェクションマッピングの設営・現地調整作業にも携わりました。 オープン前で工事中のHOTEL SHE, KYOTOに宿泊することに。部屋は既に完成していたので快適でした。 複数の動画を長時間繰り返しループさせることや、プロジェクターの天井における位置が多少変則的だったことや、 調整にはVPTというソフトを使用したのですが、使用するPCでVPTがうまく動作しないなど、現地ならではのトラブルの発生もありましたが、無事に完了。 取材にも間に合わせることができました。

設営_1 設営_2

実際に投影してみるとラウンジの壁の模様が障子のテクスチャのように映り、よりそれらしくなるなどの発見もありました。 プロジェクションマッピングは建物の凹凸を活かすものが一般的ですが、投影面の表面のテクスチャも考え合わせてみると面白いのかもしれません。

おわりに

僕自身、サークル外で個人で仕事を請けたり、他人のディレクションのもとで仕事をしたことはあったのですが、自分がチームをまとめて制作のディレクションを執るかたちで制作をしたことは初めてだったので、非常に勉強になりました。 ディレクターという立ち位置の大変さや、仕事におけるコミュニケーションという点において、学ぶ点が大きかったです。 また、プロジェクターやVJソフトの扱い方や、室内型・小中規模のプロジェクションマッピングの基本的な進め方などに関しても、多くの知見が得られたと思います。